
英国音楽メディア「CURIOUS FOR MUSIC」の記事全文翻訳
Shake My Days、新シングル『夕暮れにサイダー』を発表
『夕暮れにサイダー』で最も印象的なのは、感情を過剰に演出しない姿勢だ。
Shake My Daysのデビューアルバム『Isostasy(アイソスタシー)』に収録されたこの楽曲は、感傷と緻密さが共存する空間で展開される。大げさな表現に頼るのではなく、京都を拠点とするこのデュオは、注意深く観察された感情のディテールに焦点を当て、親密でありながら精巧に作り込まれたインディーポップ作品を生み出している。
楽曲の構造は一見シンプルだ。しかし、明るいギターフレーズと親しみやすいメロディラインが聴きやすい土台を作りながらも、繰り返し聴くことで緊張と解放を巧みに操る高度な設計が見えてくる。
冴沢鐘己のアレンジは、テクニックの誇示よりも感情の流れを優先しており、その結果、この曲は自然体の自信を持ってゆっくりと展開していく。
光希のボーカルもまた、同じように繊細な表現領域に存在している。
歌唱には過度な演技性がなく、微妙な声色やフレージングの変化によって感情を伝えている。その結果、楽曲が描く「若さゆえの不確かさ」や「感情の移ろい」に説得力を与えている。
彼女の歌声は、物語を語るナレーターというよりも、その記憶の中に存在する当事者として響いてくる。
『夕暮れにサイダー』を多くの現代インディーポップ作品と分けているのは、「ノスタルジア」との向き合い方だ。
この曲は過去を単純な慰めとして扱わない。記憶そのものに内在する曖昧さを受け止めている。喜びと失望は対立するものではなく、互いに意味を与え合う表裏一体の感情として描かれている。
冴沢鐘己コメント
「Shake My Daysは、僕が若い頃にやりたいと思っていたブリティッシュギターロックがベースにあって、光希の声と独特の歌い回しを聞いた時に、現代のJ-Popにはない、懐かしいけど新しいギターロックを目指せると感じました。
『夕暮れにサイダー』はその象徴のような曲で、ティーンエイジャーの頃に感じる、ささやかだけど軽くはない挫折と希望を描いています。」
こうした複雑さこそが、リリースから年月が経った今でも国際的な共感を呼び続けている理由だろう。
多くのインディーポップ作品が雰囲気そのものを目的としているのに対し、『夕暮れにサイダー』はその空気感の奥に、より深い感情的な目的を持っている。
成長していく過程を見つめた繊細な省察でありながら、耳に残るメロディによって親しみやすさを保ち、同時に何度も聴き返したくなる感情の深みも備えている。
光希コメント
「高校生の頃にレコーディングした曲です。
初めて聞かされた時から、『この曲はきっと誰かの心に届く』と思いました。
冴沢さんとは学校生活やアルバイト、人間関係や日常の出来事についてよく話していて、振り返ると、そうした会話が自然とこの曲の中に入り込んでいるんだと思います。」
▼掲載記事はこちら
https://www.curiousformusic.com/post/shake-my-days-unleashes-new-single-cider-at-dusk


